E_画図百鬼夜行(鳥山石燕)


「前篇陰」

「前篇陽」

「前篇風」


『画図百鬼夜行』(がずひゃっきやこう)は、
1776年(安永5年)に刊行された鳥山石燕の妖怪画集。

『今昔画図続百鬼』『今昔百鬼拾遺』『百器徒然袋』
とある石燕の妖怪画の中でも最初に刊行されたものであり、
現代ではこの4つを総称して
「画図百鬼夜行シリーズ」などとも呼ばれる。

「前篇陰」「前篇陽」「前篇風」の3部構成となっている。
各部を「前篇」と題しているものの後篇は存在せず、
この後に刊行された『今昔画図続百鬼』が後篇に相当する。

題名の「百鬼夜行」とは
本来は妖怪たちが集団で跳梁する様子のことであり、
室町時代の『百鬼夜行絵巻』などは
その通り妖怪の集団を描いたものだが、
本書は妖怪の1点1点に名称を添えて紹介しており、
いわば「妖怪図鑑」のようなスタイルとなっている。

後の画集と比較すると河童や天狗といった、
日本の伝承にある妖怪の中でも比較的有名なものが多い。

石燕自身が巻末で「詩(うた)は
人心の物に感じて声を発するところ、
画(え)はまた無声の詩とかや」と述べている通り、
禁欲的なまでに画賛を廃しており、
『今昔画図続百鬼』以降に見られるような解説文はないものが多く、
解説文があってもごく短い解説に留められている。

題名の「画図」の読みは「がず」「えず」「がと」など様々で定説はないが、
国文学者・高田衛は「がず」の読みを推奨している[1]。


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